2014年4月29日火曜日
『ブルースカイ』
桜庭一樹
2005.10.15 (早川書房)
読了日 2009/07/10
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あらすじ
西暦1627年、魔女狩りの嵐吹き荒れるドイツ。
少女マリーは〈アンチ・キリスト〉に出会う。
西暦2022年、シンガポール。
青年ディッキーは、ゴシックの廃墟を歩く少女に、失われた存在をみる。
2007年4月、鹿児島シティ。
それは突然起こり、全てのはじまり。そしてすぐに終わる…「さよなら、せかい。」
――3つの「箱庭」、「青空」、そして「少女」をめぐる物語。
どこまでもつきまとう、黒く不吉な影。「ブルースカイ」とは?
構成について
物語の展開の手法に関しては、『私の男』に近いのかなと思った。
結末を示し、次に経緯を当事者に披露させる…その辺り。
こういう語り、好きかも。
事実や出来事のなかに呑まれ、消えようとする存在であっても、そこにはその存在のあり方があって…。ストーリー中で連続する出来事の波に「消えていく」(歴史の向こう、闇の彼方、新しい世界、存在の変化……)キャラクターにも、キャラ自身の矜示や感情、人生があって…その視点が知りたい。
歴史の教科書で一行で語られる部分、その語られぬ膨大な人生を知りたい気持ちに近いというのか。
絡みあってできた全貌が知りたい。また、知る=鎮魂だ。
まだ語られていない部分
本書はまだ語られていない部分が多くあるように思う。
SF風ではあるけれど本格的ではない気がする。モチーフは面白いのだけれど。
こと第1章のドイツ、魔女狩りに関してもっと読みたかった。
いつかどこかで補完されるのだろうか。